「バックランナーって何?」「どこにある駒のこと?」バックギャモンを始めたばかりの方が最初につまずくのが、このバックランナーという用語です。バックランナーはゲームの勝敗を大きく左右する重要な駒であり、その扱い方を知るだけで戦略の幅が一気に広がります。この記事では、バックランナーの定義・初期配置・役割・動かし方・判断基準まで、初心者でも理解できるよう丁寧に解説します。
【結論】バックランナーの定義と初期配置をサクッと確認

バックギャモンを学ぶうえで、まず「バックランナーとは何か」を正確に把握することが大切です。
結論から言うと、バックランナーとは、ゲーム開始時に相手のホームボード(相手の陣地)に配置された自分の駒のことです。
この駒は相手陣地の奥深くにあるため、自軍のゴールまでの距離が最も長く、ゲーム全体を通じて特別な注意が必要になります。
バックランナーとは相手のホームボードに残る自分の駒
バックギャモンの盤面は、自分のホームボード(1〜6ポイント)・自分のアウターボード(7〜12ポイント)・相手のアウターボード(13〜18ポイント)・相手のホームボード(19〜24ポイント)の4エリアに分かれています。
バックランナーは、この4つのエリアのうち最も遠い「相手のホームボード」に置かれた自分の駒を指します。
英語では「Back Runner」または「Back Man(バックマン)」とも呼ばれ、文字通り「後方にいる走者(駒)」を意味します。
この駒は相手の陣地の奥にあるため、自軍ゴール(ベアリングオフ)まで最長で約24マス分の移動が必要です。
そのため、バックランナーをどう扱うかがゲームの展開を決定づける重要な要素となります。
初期配置では24ポイントに2枚
ゲーム開始時、自分の駒15枚は以下のように配置されます。
- 24ポイント:2枚(バックランナー)
- 13ポイント:5枚
- 8ポイント:3枚
- 6ポイント:5枚
つまりバックランナーは初期配置で24ポイントに2枚存在し、全15枚のうちの2枚にあたります。
相手から見ると、相手のバックランナーは自分の1ポイントに2枚配置されていることになります。
この2枚の駒がゲーム開始直後から「最も長い距離を走らなければならない駒」として、戦略上の注目を集めます。
「バックランナー」の語源と名前の由来
「バックランナー」という名称は、英語の「Back(後方)」と「Runner(走者・走る者)」を組み合わせた言葉です。
陸上競技で後方から追い上げる選手を「バックランナー」と呼ぶように、バックギャモンでも最後方から走り出す駒という意味合いでこの名前が使われています。
日本語では「バックマン」と呼ばれることも多く、どちらの呼び方も広く使われています。
バックギャモンという競技名自体が「後退・後方」を意味する語源を持つとされており、この「後方からの逆転」という概念がゲームの本質にも関わっています。
バックランナーの位置を図解でわかりやすく解説

バックランナーの概念を文章で理解したら、次は盤面上の具体的な位置を視覚的に確認しましょう。
バックギャモンの盤面は数字で管理されており、ポイント番号を覚えることが位置把握の第一歩です。

初期配置図でバックランナーをハイライト表示
以下の初期配置の概念図でバックランナーの位置を確認してください。
| ポイント番号 | 駒の数 | 備考 |
|---|---|---|
| 24ポイント(相手ホームボード) | 2枚 | ← バックランナー(最重要) |
| 13ポイント(相手アウターボード) | 5枚 | ミッドポイント |
| 8ポイント(自分アウターボード) | 3枚 | ビルダー |
| 6ポイント(自分ホームボード) | 5枚 | ホームボード駒 |
24ポイントに配置されたバックランナーは、ベアリングオフ(駒をボードから上げ切るゴール)まで最大24マスの移動が必要です。
このことから、バックランナーを早期に前進させることが、ランニングゲームの基本戦略となります。
白番・黒番それぞれの視点での見方
バックギャモンでは、白番と黒番で盤面の進行方向が逆になります。
白番(White)の場合、バックランナーは盤面右上エリア(24ポイント付近)に配置されており、左下方向(1ポイント方向)へ進みます。
黒番(Black)の場合、バックランナーは盤面左上エリア(1ポイント付近)に配置されており、右下方向(24ポイント方向)へ進みます。
どちらの場合も「自分から見て最も遠いポイントにある2枚の駒」がバックランナーだと覚えておけば、混乱することはありません。
オンラインゲームやアプリでプレイする際も、自分の駒の最遠端2枚を確認するだけでバックランナーをすぐに識別できます。
バックランナーの役割と重要性を理解しよう

バックランナーは単なる「遠くにいる駒」ではありません。
適切に活用すれば攻撃・守備・逃走の3つの役割を担う、戦略上の要となる駒です。

ゲーム序盤でバックランナーが果たす役割
ゲーム序盤におけるバックランナーの主な役割は次の3つです。
- 相手ホームボードへの牽制:相手のホームボード内にいることで、相手はポイントを自由に作りにくくなります。
- ヒットのチャンス確保:相手のブロット(1枚だけ置かれた駒)をヒット(叩く)できる位置関係を作れます。
- アンカー(2枚のスタック)形成:2枚をまとめて残すことで、相手陣地に安全な拠点(アンカー)を確保できます。
特に序盤の重要な戦術として、相手の5ポイント(ゴールデンポイント)や4ポイントにアンカーを張ることが挙げられます。
これにより相手のランニングゲームを妨害しながら、自分も態勢を整える時間を稼げます。
バックランナーが勝敗を左右する理由
バックランナーが勝敗を左右する最大の理由は、ゲーム全体のピップカウント(駒の移動合計距離)に与える影響の大きさです。
初期配置でバックランナー2枚のピップ数は合計48ポイント(24×2)であり、15枚合計のピップ数167のうち約29%を占めています。
つまり、バックランナーを素早く前進させるだけで、全体の移動効率を大きく改善できます。
逆に、バックランナーをヒットされてバーに送られた場合、相手のホームボードに再入場しなければならないため、大幅なタイムロスとなります。
このようにバックランナーの状態がピップカウントの優劣を決め、ゲームの流れを支配するのです。
バックランナーを放置するとギャモン負けのリスクに
バックランナーを終盤まで相手陣地に放置してしまうと、ギャモン負け(通常負けの2倍の失点)のリスクが急激に高まります。
ギャモン負けとは、相手が全15枚をベアリングオフし終えた時点で、自分がまだ1枚もベアリングオフできていない状態です。
バックランナーが相手陣地に残っている状況では、自分の全駒がゴールを終えることは不可能であり、ギャモン負けの条件を自ら作ってしまいます。
さらに最悪の場合、バックギャモン負け(通常負けの3倍の失点)になるケースもあります。
これはバックランナーがまだ相手のホームボードにいる状態で相手がゲームを終わらせた場合に発生します。
そのため、バックランナーの状態管理はリスク管理の観点からも非常に重要です。
バックランナーと混同しやすい用語との違い

バックギャモンを学ぶ際、バックランナーに関連した用語で混乱しやすいものがいくつかあります。
ここでは「アンカー」と「ブロット」との違いを整理し、各用語を正確に理解しましょう。
アンカーとの違い:駒そのものvs戦術的な状態
| 用語 | 定義 | 特徴 |
|---|---|---|
| バックランナー | 相手ホームボードに配置された自分の駒 | 駒そのものを指す名称 |
| アンカー | 相手ボード内で2枚以上積み重ねて確保したポイント | 駒の「状態・戦術的配置」を指す |
つまり、バックランナー2枚が同じポイントに重なった状態が「アンカー」です。
アンカーは相手にヒットされる心配がなく、安定した拠点として機能します。
例えば、バックランナー2枚が24ポイントに留まっていれば「24ポイントにアンカーを張っている」と表現します。
一方でバックランナーが分散して1枚ずつ別々のポイントにいる場合は、それぞれが「ブロット」となりリスクが高まります。
ブロットとの違い:単独の駒が持つ危険性
ブロット(Blot)とは、あるポイントに1枚だけ単独で置かれた駒のことです。
ブロットは相手にヒット(叩く)されるリスクがあり、叩かれるとバーに送られて再入場しなければなりません。
| 用語 | 枚数 | 安全性 | リスク |
|---|---|---|---|
| バックランナー(アンカー状態) | 2枚以上 | 安全 | ヒットされない |
| バックランナー(ブロット状態) | 1枚単独 | 危険 | ヒットされてバーへ |
バックランナーが2枚とも相手陣地にいる場合、2枚を同じポイントに置いてアンカー状態を維持することが基本です。
1枚だけ動かしてブロットにすることは、相手に叩かれるリスクを自ら作ることになるため、慎重な判断が求められます。
バックランナーの基本的な動かし方3パターン

バックランナーの動かし方には大きく分けて3つのパターンがあります。
ゲームの状況・ダイスの出目・相手の盤面状況に応じて最適なパターンを選択することが、上達への近道です。

パターン1:早めに逃がすランニングゲーム
ランニングゲームとは、バックランナーをできるだけ早く前進させ、全駒を素早くゴールへ運ぶ戦略です。
ランニングゲームが有効な条件は以下のとおりです。
- 自分のピップカウントが相手より有利(少ない)場合
- 相手のホームボードのブロックが薄く、安全に逃げられる場合
- 大きい目のダイス(5・6)が連続して出た場合
ランニングゲームでは、バックランナーを1手で大きく前進させることを優先し、相手の妨害を避けながらゴールへの最短ルートを走ります。
ただし、相手もランニングゲームを展開している場合は、ダイス目の勝負になるため運の要素も大きくなります。
参考動画:初心者向けバックギャモン講座10 戦略講座中盤編(3/3)
パターン2:アンカーを作って残す守備的戦略
アンカー戦略とは、バックランナー2枚を相手陣地の有利なポイントに残し、安定した拠点を確保する守備的な戦略です。
特に相手の5ポイント(ゴールデンポイント)や4ポイントにアンカーを張ることが最も効果的です。
アンカー戦略が有効な条件は以下のとおりです。
- ピップカウントで自分が不利な場合
- 相手がランニングゲームに移行しようとしている場合
- 相手のアウターボードにブロットが多い場合
アンカーを張ることで、相手の逃走を阻害しながら自分が有利な盤面を作るチャンスを待つことができます。
また、アンカーからヒットを狙う機会も生まれるため、攻守両面での活用が可能です。
パターン3:分散させてヒットを狙う攻撃的活用
バックランナーを2枚とも同じポイントに留めず、あえて分散させて相手のブロットをヒットする攻撃的な戦術です。
この戦術はリスクが高い反面、相手を大きく後退させるチャンスが生まれます。
- 相手が複数のブロットを相手ホームボードに残している場合
- 自分がピップカウントで大きく不利な場合(バックゲームへの移行)
- ダイス目により好位置にヒットを狙えるブロットがある場合
ただし、バックランナーをブロット状態にすることで相手にもヒットされるリスクが生じます。
この戦術はバックゲーム戦略の一部として使われることが多く、上級者向けの高度な選択肢です。
バックゲーム戦略についてさらに詳しく知りたい方は、バックギャモンのバックゲーム戦略を完全解説する実践ガイドも参照してください。
バックランナーを動かすタイミングの判断基準

バックランナーをいつ動かすべきかは、初心者が最も悩むポイントのひとつです。
「逃がす」か「残す」かを判断するには、盤面全体の状況を読む力が必要です。
逃がすべき3つのサイン
以下のサインが見られたら、バックランナーを素早く前進させることを優先してください。
- ピップカウントで優位に立っている:自分の総移動距離が相手より短い場合は、ランニングゲームに移行すると有利です。
- 相手のホームボードのポイントが増えてきた:相手が4〜5ポイントを埋め始めると、逃げるルートが閉じられる前に脱出する必要があります。
- 大きいダイス目が出た:5・6の目が出た場合は、バックランナーを大きく前進させる絶好のチャンスです。
逃げるタイミングを逃すと、相手のホームボードに閉じ込められるリスクが高まります。
残すべき3つのサイン
反対に、以下のサインがある場合はバックランナーを相手陣地に残すことを検討してください。
- ピップカウントで不利な状況:総移動距離が相手より長い場合、ランニングゲームでの勝ち目は薄いため、アンカーを張ってチャンスを待つ方が有効です。
- 相手のアウターボードにブロットが多い:ヒットの機会が多い場合は、バックランナーを残してヒットを狙うメリットが大きくなります。
- 相手の5・4ポイントが空いている:ゴールデンポイントへのアンカーが狙える場合は、積極的に残して拠点を確保しましょう。
アンカーを張ることで相手の動きを制限しながら、自分のボードを整備する時間を作ることができます。
【判断フローチャート】逃がすか残すかの分岐点
以下のフローチャートを参考に、バックランナーの判断を行いましょう。
- 自分のピップカウントは相手より少ない(有利)? → YES:逃げることを検討 / NO:次へ
- 相手のホームボードのポイントは4つ以上埋まっている? → YES:今すぐ逃げる / NO:次へ
- 相手のアウターボードにブロットが2枚以上ある? → YES:残してヒットを狙う / NO:次へ
- ゴールデンポイント(5・4ポイント)にアンカーを張れる? → YES:残してアンカー確保 / NO:逃げることを優先
このフローチャートはあくまで基準であり、実際のゲームではダイス目や相手の戦略によって柔軟に判断する必要があります。
バックギャモンの戦略全体については、バックギャモン上達法とコツを実践的に解説する完全ガイドも参考になります。
初心者がやりがちなバックランナーのNG例3選

バックランナーに関する失敗パターンを事前に知っておくことで、同じミスを避けることができます。
ここでは初心者に特に多いNG例を3つ紹介します。

NG例1:1枚だけ逃がしてブロットを残す
バックランナー2枚のうち1枚だけを前進させて、残った1枚をブロット状態にしてしまうのは典型的なミスです。
ブロットになった駒は相手にヒットされる危険性があり、叩かれるとバーに送られて大幅なタイムロスになります。
対策:2枚を動かす際は必ず両方を同じポイントに集めてアンカーを維持するか、両方を同時に前進させることを意識しましょう。
どうしても1枚しか動かせない場合は、相手にヒットされにくいポイントを選ぶことが重要です。
NG例2:終盤まで放置してギャモン負けになる
ゲームの序盤〜中盤でバックランナーを動かさず、終盤まで相手陣地に放置してしまうパターンです。
相手が着々と駒をゴールへ向けて進めている間、バックランナーが動いていなければギャモン負けまたはバックギャモン負けの条件を自ら満たしてしまいます。
ギャモン負けは通常の2倍、バックギャモン負けは3倍の失点となるため、ダブリングキューブ使用時は非常に大きなダメージを受けます。
対策:常にバックランナーの状況を意識し、ゲームの流れを見ながら適切なタイミングで前進させる習慣をつけましょう。
NG例3:相手のプライムに閉じ込められる
プライムとは、相手が連続した複数のポイントを塞ぐことで形成するブロックのことです。
特に6連続ポイント(フルプライム)を作られると、バックランナーはそのブロックを飛び越えることが物理的に不可能になります(サイコロの最大値は6のため)。
バックランナーをプライムに閉じ込められると、ゲームの主導権を完全に失います。
対策:相手がポイントを連続して塞ぎ始めたら、早めにバックランナーを前進させてプライムの手前まで移動しておくことが重要です。
相手のプライム形成が進む前に逃げるタイミングを見極めることが、中級者への第一歩です。
バックランナー戦術をさらに学ぶためのリソース

バックランナーの基本を理解したら、さらに深く戦術を学ぶためのリソースを活用しましょう。
書籍・動画・アプリを組み合わせることで、理解と実践力を効率よく高めることができます。
おすすめの書籍・動画チャンネル
バックギャモンの戦術を体系的に学ぶには、以下のリソースが役立ちます。
【書籍】
- 『バックギャモン 勝つための戦略』:バックランナーの扱い方をはじめ、各種戦術を網羅的に解説した定番書。
- 『Backgammon for Winners(英語版)』:世界的名著。バックランナーの逃がし方・アンカー戦略が詳しく解説されています。
【動画チャンネル】
初心者向けの戦略解説動画として、以下が参考になります。
バックギャモンの中盤戦略を詳しく解説した動画:Strategy Lesson (Mid-stage) (1/3)
ランニングゲームとバックゲームの関係を解説した動画:
バックギャモンの基本4戦術をわかりやすく解説した動画:
また、対ランニングゲームのバックマン考察(note)では、バックランナー(バックマン)の具体的な動かし方について実践的な考察が紹介されており、中級者以上の方にもおすすめです。
練習に使えるアプリ
バックランナーの扱い方を実際に練習するには、AIと対戦できるアプリが最も効率的です。
- GNU Backgammon:無料で利用できる高性能AIバックギャモン。世界トップレベルの評価エンジンを搭載しており、自分の手の正解・不正解をリアルタイムで確認できます。バックランナーの判断ミスも即座に指摘されます。
- Backgammon NJ(iOS/Android):操作が直感的でスマートフォンで手軽に練習できます。AIの強さを段階的に設定できるため、初心者から上級者まで対応。
- CrazyGamesのオンラインバックギャモン:ブラウザで無料プレイ可能。ルール確認や初歩的な練習に最適です。

GNU Backgammonのような高性能AIを使うことで、バックランナーを逃がすべきタイミング・残すべきタイミングを繰り返し体験し、感覚として身につけることができます。
まとめ:バックランナーを制してバックギャモンの勝率を上げよう

この記事で解説したバックランナーに関する重要ポイントを振り返りましょう。
- バックランナーとは、相手のホームボード(24ポイント)に初期配置される自分の駒2枚のこと。
- 役割は3つ:逃走(ランニングゲーム)・守備(アンカー形成)・攻撃(ヒット狙い)に応じて使い分ける。
- 放置は厳禁:終盤まで残すとギャモン負け・バックギャモン負けのリスクが急増する。
- 判断基準はピップカウント:自分が有利なら逃げる、不利ならアンカーを張って機会を待つ。
- 初心者NG例:1枚だけブロットにする・終盤まで放置する・プライムに閉じ込められる、の3つを避けるだけで勝率は大きく上がる。
バックランナーはバックギャモン全体のピップカウントの約29%を占める重要な駒です。
この駒の扱い方を意識するだけで、ゲームの展開が劇的に変わります。
まずはオンラインアプリやGNU Backgammonで実際に手を動かしながら、バックランナーの「逃がす・残す」判断を繰り返し練習してみてください。
理論と実践を組み合わせることで、バックランナーを自在に操れるようになり、バックギャモンの勝率は着実に向上していきます。


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